追分の家が建ってから約1年半が経ちました。
裏庭の林の新緑が眩しくて爽やかな初夏。
思ったより暑くて雑草に悩まされた夏。
庭の楓やマルバノキが見事に紅葉した秋。
マイナス10℃を超える寒さや雪に身震いした冬。
春夏秋冬を経験して、また気持ちの良い季節が巡ってきました。
我が家のプーも、御影用水沿いの散歩道をうれしくて飛び跳ねながら散歩します。
「うれしいねー」とプーに話しかけながら、のんびりとゆっくりと辺りをぶらぶら。
そしてそんな散歩の途中で、必ずと言って良いほど立ち寄るポイントがあります。
それは浅間山と我が家が一度に眺められる所です。
お天気が良くて気持ちの良い朝、このポイントに立って浅間山を眺めると、気分ががリセットされておおらかな気持ちになります。
ふーっとひと息、深呼吸。
「生きててよかった」
大げさではなく、そんな心の声が自分の中から聞こえてきます。
家の計画が佳境に入った、一昨年の秋。私は乳がんであることがわかりました。
それから一年。手術や抗がん剤、放射線などの治療を受け、なんとか無事に乗り越えたばかりです。
だからこその「生きててよかった」。
「あー、頑張ってここに家を建ててよかったなあ」
そうも思います。
我が家という箱物も大事ですが、それと同じかあるいはもっと大事なのは、この雄大な自然に触れることのできる「空間」。そしてその空間に包まれて、忙しい日常を離れてのゆっくりとした「時間」を味わうことができることです。
あの辛い抗がん剤治療なんかよりもずっと、私の回復に役立ってくれているような気がします。
さあ、今日もまた追分ハウス(我が家のこと)へ向かいます。
「晴れそうだから、またいい浅間山の景色が見れるかな」
心ははやります。
先月は週末にふたりで、そして平日に私ひとりで、計7回も追分で過ごしました。
2拠点生活のリズムも少しずつ整い始めた感があります。
ピアーノ、ピアーノ。(イタリア語で「ゆっくりと、ゆっくりと」の意)